大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和30(オ)268 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

論旨は、原判決は、農地法二〇条の解釈適用を誤つていると主張するに帰するけ

れども、本件解約許可処分が行われたのは昭和二七年四月三〇日附であつて、所論

農地法は未だ施行されていなかつたのである(同法は同年七月一五日公布、同年一

〇月二一日施行)。すなわち、被上告人B知事が本件許可処分をしたのは旧農地調

整法九条及び同法施行令一一条に基いたものであること明白であり、原判決が、本

件許可処分を右法条にてらして違法でない旨を判示していることも原判文上明白で

ある。論旨は、原判決の解釈適用していない法条について原判決の違法を主張する

のであるから採用の余地がないものといわなければならない。

かりに論旨を、本件解約許可が農地調整法及び同法施行令に反する旨を主張する

趣旨と解するとしても、原審の認定した事実によれば、上告人の耕作面積は田一町

八反七畝、畑一反八畝であるのに対し、地主たる訴外Dの耕作面積は畑一反二畝に

過ぎず、生活状態を比較すれば上告人の方が右訴外人より裕福であり、かつまた、

右訴外人の耕作能力に欠くるところはないというのであつて、その他原審の認定し

た諸般の事情の下においては、被上告人が本件解約を許可したことをもつて違法と

すべき理由はない。

被上告人は、上告人が小作料を支払わなかつた事実をもつて信義に反するものと

して、この点をも考慮した上で本件解約を許可したのであるが、原判決の認定する

ところによれば、右の事実は必ずしも信義に反するものとはいえないというのであ

る。そしてこの認定があつても既述の事情があるにおいては、この事情だけによつ

ても本件解約許可は適法と解すべく、したがつて被上告人がした許可は結局正当に

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帰するから論旨は採用できない。

その他の論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨選択、事実認定を非難するに過

ぎず上告適法の理由にならない。

以上説明のとおり、本件上告は理由がないから、民訴四〇一条、九五条、八九条

に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

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